絵本と香り

アロマブレンドの面白さは一滴一滴、精油を足していくとたどりつきたい世界に香りが近づいていくところだと思っています。
このシーンではどんな香りがしたかしら、とイメージをふくらませながら絵本の世界を香りで表現することに挑戦しています。

田島征三「はたけのともだち」童心社

畑の野菜たちが動き出す様子に生きる楽しさが感じられて、その勢いに圧倒される絵本。土から飛び出したにんじんの香りを精油で作ったよ。

  • 【香りのなまえ】

    飛び出したにんじん

    【使った精油の種類と滴数】

    リトセア1
    ヘリクリサム1
    パチュリー1

    【香りのイメージ】

    今日畑に行ってにんじんを抜かせてもらったら、堀りたてのにんじんから花を感じる程に甘い香りがしてびっくりしてうっとりしたよ。
    この本の、土から飛び出して木登りまでしちゃう元気なにんじんは根菜であっても花のようなレモンのようなジューシーな芳香を含んでいたと思う。
    リトセアでレモンのような爽やかさを、ヘリクリサムでほのかな花を、パチュリで豊かな土を表現できたよ。

田島征三「ほら いしころが おっこちたよ ね、わすれようよ」偕成社

失敗ばかりのおじいさんの朝が、ふたりで素敵な朝食を迎えられるまでのお話。
食卓を飾った、おばあさんの切り花の香りを精油で作ったよ。

  • 【香りのなまえ】

    おばあさんの切り花

    【使った精油の種類と滴数】

    カルダモン2
    ラベンダー2
    レモングラス1
    メリッサ2
    カモミールローマン4
    パルマローザ2
    ジャスミン1

    【香りのイメージ】

    おばあさんが飾った切り花はバラのように芳醇な香りではなく、ほんのり草のような、切ったばかりの茎の香りが残るような優しい草花の香りだったと思う。
    カモミールローマンとパルマローザで草花の雰囲気を、レモングラスで茎のような青さを出したよ。

田島征三「かとりせんこう」福音館書店

かとりせんこうの煙が空まで届いておつきさまがぽとんと涙を落としたシーンの香りを精油で作ったよ。

  • 【香りのなまえ】

    おつきさまの涙

    【使った精油の種類と滴数】

    レモン2
    レモングラス1
    プチグレイン3
    サイプレス2
    ローズマリーシネオール1
    ミルラ1

    【香りのイメージ】

    おつきさまの可愛らしいまつげからこぼれた涙は大つぶで、クリアな透明色だったと思う。
    鼻をつんと刺す清涼感と、遠くに苦味も感じるような、悲しみが溶けた香り。
    悲しい気持ちが洗い流されて頑張る気力がわいてくるようなブレンドができたよ。

田島征三「うりのつるくるくる」光村教育図書

うりのつるが生き物に助けられたり助けたり、くるくる伸びて立派な実をつけました。
とってもおいしそうな実のシーンの香りを精油で作ったよ。

  • 【香りのなまえ】

    黄色いうりさん

    【使った精油の種類と滴数】

    スターアニス5
    グループフルーツ3
    レモン3

    【香りのイメージ】

    ぼうやがおじいさんと並んで食べたうりはきっとみずみずしくてジューシーで体がすっきりするような味と香りがしたと思う。
    グループフルーツとレモンのおかげで、うりらしさの中にも黄色い実の色が感じられる香りになったよ。

田島征三「ふきまんぶく」偕成社

ふきちゃんがあたたかい土のにおいにつつまれて眠るシーンの香りを精油で作ったよ。

  • 【香りのなまえ】

    ふきちゃんの眠り

    【使った精油の種類と滴数】

    レモン2
    ベルガモット2
    ジンジャー2
    サイプレス2
    ヤロウ1
    パチュリ1
    ヒバ1

    【香りのイメージ】

    ねぐるしい夏の夜に星をひろいに出かけたふきちゃんがふきの葉っぱに出会うお話。
    ふきちゃんが眠りにつく時、ふきに優しく包まれて土があたたかくて夏のにおいがしたなら、きっとこんな香りを感じたと思う。
    森林を感じるヒバとパチュリの土っぽさの中に、草のようなヤロウを入れてアクセントにしたよ。

田島征三「つかまえた」偕成社

出版されたばかりの「つかまえた」の少年をイメージした香りを精油で作ったよ。

  • 【香りのなまえ】

    焼けた肌の少年

    【使った精油の種類と滴数】

    四万十ゆず4
    土佐ぶんたん3
    土佐こなつ3
    土佐ぽんかん3
    プチグレイン1
    四万十ひのき1
    シナモン(ニッキ)0.5

    【香りのイメージ】

    川と山を駆けて魚、鳥、植物、虫、小動物にであって、触れて、肌で感じたその感覚は少年の体のなかに深く入っていく。
    みずみずしく眩いほどに美しい存在であった日焼けした肌の少年をイメージして、ニッキと土佐ひのきをベースに、丁寧に蒸留された希少な土佐の柑橘精油をふんだんに使って短い少年時代のはじけるようなみずみずしさ、眩しいほどの美しさを表現したよ。